競馬共和国

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【京都新聞杯(G2)2019】レッドジェニアルが後方からの差し切り勝ちで混戦を制す!

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 5月4日(土)の京都競馬場では、3歳馬限定の中距離重賞となる京都新聞杯(G2)が開催された。前半1000メートルは60秒0で流れ、最後は2分11秒9でフィニッシュ。

 

先週の3歳牝馬限定・矢車賞(500万下)は前半1000メートル64秒5、走破タイム2分15秒1だから京都新聞杯組は牡馬混合のG2らしいレースは見せてくれた。

 

 【①着/⑪人気】レッドジェニアル

11番人気の低評価を覆して勝利を収めたのは栗東高橋義忠厩舎のレッドジェニアル。4戦1勝、3着2回、4着1回と未だ掲示板を外していない安定感を発揮している馬だ。この日のレースは12番ゲートから無難にスタートを決めると、道中は8番手の追走。

 

折り合いもよくついており、リラックスして走っていた。3コーナー過ぎから徐々に鞍上の酒井学騎手の手が動き、進出開始。直線は外から一完歩ごとに差を詰め、ゴール前で先頭のロジャーバローズを交わし切った。

 

ロジャーバローズが予想以上に強い競馬をしたため、着差はクビ差だったが、何とか日本ダービー(G1)へ向けての賞金は確保した。上がり3ハロンはメンバー中唯一の34秒台(34.7)であり、今回は終い勝負にならなかったのもこの馬には合っていたかもしれない。

 

過去4戦の上がりはすべて35秒~36秒台。切れは一線級の馬たちには劣るが、最後までバテない競馬ができるのがこの馬の強みだ。

 

本番のダービー(G1)でもペースが流れれば、良い競馬ができるだろう。今回の一戦で即「次も勝負になる!」とは断言できないが、新しい伏兵の登場で本番がより楽しみになったのは事実。

 

父・キングカメハメハ、母・レッドアゲート(母父・マンハッタンカフェ)という血統。母のレッドアゲートオークストライアルのフローラステークス(G2)を制し、本番のオークス(G1)でも2番人気に支持された馬(結果は6着)。

 

母は古馬になっても2400メートルの日経新春杯(G2)3着の成績がある。レッドジェニアルも本番2400メートルの距離は問題ないだろう。前走・アザレア賞(3歳500万下・距離2400メートル)も0秒3差の4着だった。
 

【②着/②人気】ロジャーバローズ

個人的に勝ち馬以上に強い競馬をしたと思えるのが2着のロジャーバローズ。この日は初めて道中先頭での競馬になった。スタートしてからじわりと押し出されるような格好だったが、折り合いがついていたから問題はなし。

 

3コーナー付近でモズベッロが一気に上がってきたが、この馬自身は取り乱すこともなかった。そして直線は浜中騎手に追い出すと、跳びの大きなフットワークで後方との差を再度離しにかかった。

 

最後はレッドジェニアルに差し切られはしたが、道中のペースなどを考えると負けて強しの内容。デビューから一貫して2000メートルのレースを使われ3戦2勝、4戦目となったスプリングステークス(G2)も2番人気に支持されたが7着に終わり、皐月賞を諦めた。

 

ただ、前走も7着とはいえ着差はわずか0秒4差。跳びの大きな馬に不向きな中山コースというのも少なからず影響はあったはずで、今回は京都外回りの広々コース。もう能力が高いのはわかっているから、不利さえなければ上位争いはできる条件は整っていた。

 

今回の本賞金確保でダービーへの出走は可能になりそうだ。父は現在の日本競馬をリードするディープインパクトであり、母はリトルブック。母の姉にはG1を7勝した名牝・ジェンティルドンナの母であるドナブリーニがいる。

 

ジェンティルドンナは東京コースにめっぽう強かった。近親のロジャーバローズも東京の広々としたコースは適性が高そうだ。
 

【③着/⑦人気】サトノソロモン

サトノソロモンもスタート、道中は文句なしの競馬。序盤は内々の3番手を追走していたが、3コーナー過ぎから他馬が動き始めたところをこの馬と鞍上のB・アヴドゥラ騎手はワンテンポ待って追い出しにかかった。

 

直線も馬群を割ってよく伸びており、最後は4着のナイママとの叩き合いを凌ぎ切って3着を確保した。1着のレッドジェニアル、2着のロジャーバローズとの着差は2馬身半。今回は特に不利もないレースだったから現時点で持てる力は出し切っただろう。

 

レース前までの戦績が2戦1勝。前走500万条件の大寒桜賞では1番人気に支持されながら0秒8差の7着惨敗。3戦目の重賞挑戦で3着は立派。ダービー(G1)出走は不可能になったが、今後のレースぶりに注目してみたい1頭である。
 

【④着/⑩人気】ナイママ

4着ナイママは今回で10戦目。

 

昨年、秋の札幌2歳ステークス(G3)から7戦連続の重賞出走であり、厳しいレースをしてきた経験が活きた格好だ。道中は若干ムキになって走る面も見られたが、直線は最後までよく伸びた。

 

3着サトノソロモンとの着差はハナ差だったが、最後にまた差し返しにかかっているあたり、この馬もやはり能力は高い。今後もオープンやローカルの重賞戦線で注目したい1頭である。
 

【⑤着/①人気】タガノディアマンテ

1番人気に支持されたタガノディアマンテは前走の皐月賞(G1)が15番人気6着。4コーナー10番手の位置から上がり2位タイの34秒4の末脚で6着にまで追い込んできた。今回はその前走の好走が決め手となっての人気だっただろう。

 

スタートも五分に出て問題なし。道中も3番手追走で折り合いもついていたが、直線残り250メートルから先頭のロジャーバローズに突き放されてしまった。

 

もともと良質な切れ味を持っているだけに、今回は道中の位置取りがやや前目すぎたということも影響したかもしれない。また、タガノディアマンテは今回が7戦目となるが、昨年10月のデビューから休みなくレースに出走している。

 

一度、休養を挟んでリフレッシュさせてみるのもよいかもしれない。皐月賞を見ると、これが本当の実力ではないのは明らか。次走以降にも注目。
 

その他

前走4コーナーで騎手が立ち上がる不利を受けた3番人気オールイズウェルは8着。今回は道中も直線も不利なくレースができたが、1秒2差の完敗。自己条件に戻る次走以降に注目。

 

4番人気のブレイキングドーンは後方11番手から上がり2位の35秒0でよく追い込んだが6着まで。この馬は京都2歳ステークス(G3)2着はあるものの1着だった新馬戦、3着に入った弥生賞(G2)のような時計が掛かる馬場向きかもしれない。