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日本中央競馬会(JRA)主催の重賞レース展望・回顧などをお届けします!

【京王杯スプリングカップ(G2)2019】2歳王者サトノアレスは距離1400メートル・東京コースともに適正あり!ポイントはレース当日の馬場状態

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昨年の京王杯スプリングカップ(G2)は美浦藤沢和雄厩舎のムーンエイク(セ6)が制した。今年も同レースには有力馬タワーオブロンドンがスタンバイしているが、もう1頭忘れてはならないのが2016年の最優秀2歳牡馬サトノアレスだ。

 今年5歳となるサトノアレス。前走はタワーオブロンドンも出走した2月の東京新聞杯(G3)で4番人気3着だった。このレース、サトノアレスのスタートは決して良くなかったが、道中は折り合いバッチリで最内の10番手あたりを追走。

 直線も内を突いてよく伸びており、上がりはメンバー中3位の33秒9だった。前半600メートル34秒5と緩みのない流れとなり、ハナを切ったショウナンアンセム、2番手追走の3番人気ロジクライが揃って失速(ショウナン16着、ロジ9着)。前走は展開的にもサトノアレスにとっては恵まれた形だっただろう。

 今回は約3ヶ月ぶりの競馬となるが、休み明けの成績は【0-0-1-3】となる。決して歓迎ではない気もするが、昨年の京王杯スプリングカップ(G2)3着があるようにまったく走れないこともない。

 距離1400メートルでの成績は【0-0-1-1】となる。去年の同レースでは後方16番手からメンバー中2位の上がり32秒7の末脚で追い込み、次走の安田記念(G1)も後方14番手から上がり最速タイの33秒3で4着。後方からの爆発力、そして東京コースでの走りはたしかなものがある。

 サトノアレスの東京コースでの成績は【1-2-2-2】と安定感があるのも魅力的だ。着外の2回は前述の安田記念(G1)4着と3歳時の休み明けで臨んだ富士ステークス(G3)6着。富士ステークス(G3)は、休み明けと不良馬場でこの馬のセールスポイントである切れ味が削がれたことも大きく影響している。

 サトノアレスの場合はレース当日の馬場状態にも注目しておきたい。この馬、稍重、重、不良馬場での成績は【1-0-0-3】である。1着こそあるものの、この1勝は2歳時の未勝利戦であり、絶対能力の差でこなした可能性が高い。

 実際、クラスが上がってからの馬場が悪化したレースでは、前述の富士ステークス(G3)6着の他に函館記念(G3)1番人気6着(重)、阪神カップ(G2)5番人気15着(稍重)とこの馬らしさがまったく出せていない。

 距離1400メートル、そして東京コースと、今週はサトノアレスにとって得意ともいえる舞台になるだけにレース当日は良馬場での競馬を期待したい。条件が整えば朝日杯FS(G1)以来の重賞制覇も十分可能だろう。

 

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【ヴィクトリアマイル(G1)2019】最優秀2歳牝馬・ラッキーライラックは東京コースでの競馬をもう一度見たい

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今週のヴィクトリアマイル(G1)には2017年の最優秀2歳牝馬であるラッキーライラックが出走予定だ。

 ラッキーライラックの現時点での成績は9戦4勝、2着2回、3着1回。前走は阪神で行われたヴィクトリアマイル(G1)の前哨戦・阪神牝馬ステークス(G2)であり、単勝1.5倍の断然人気に支持されたが結果は8着だった。

 ただ、前走は3コーナーあたりで鞍上の石橋修騎手が立ち上がるほどの不利を受けており、不完全燃焼の競馬。それでも直線は後方から上がり33秒2の脚を使って、先頭集団との差を詰めている。

 このレースは前半3Fが35秒6と牝馬G2戦にしてはゆったりとしたペースであり、後方からのレースを余儀なくされたラッキーライラックには厳しい展開だった。あのスローの流れを最後0秒2差まで追い込んだ脚は素直に評価したい。

 今週ヴィクトリアマイルの舞台となる東京コースは2戦して1着1回、3着1回の成績を残している。1勝は2歳時に走ったアルテミスステークス(G3)であり、今週と同じマイル戦の競馬。

 距離1600メートルの競馬では6戦4勝、2着1回という成績である。過去の成績からみてもマイルでの競馬はまったく問題ないと感じるが、個人的にこの馬は脚の使いどころが難しいというイメージがある。能力は非常に高いが使える脚が短いため、直線の長い東京がベストとはいえないのではないだろうか。

 思えば三冠馬だった父オルフェーヴルも現役時代は東京で開催された皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)などを制しているが、個人的には引退レースの有馬記念(G1)8馬身差圧勝や4歳時の宝塚記念(G1)など、直線の短い中山や阪神内回りでの競馬のほうがどこか安心して見れた記憶がある。

 ラッキーライラックも2走前の中山記念(G2)では、香港のクイーンエリザベス2世カップ(G1)を制したウインブライトとタイム差なしの大接戦(結果は2着)。

 このレースはウインブライト以外にもマイルチャンピオンシップ(G1)勝ちのステルヴィオ大阪杯(G1)を制したスワーヴリチャード、皐月賞馬のエポカドーロ、秋華賞(G1)を勝ったディアドラなどG1級のメンバーが揃っており、非常に中身の濃い2着でもあった。

 能力は中山記念(G2)で再度証明済みだから、あとは東京での競馬をもう一度見たい。レース後に「ラッキーライラック、東京でも強し」と思わせてくれるような競馬を期待。

【京王杯スプリングカップ(G2)2019】1400メートル戦2戦2勝のタワーオブロンドンは後方からの爆発力に期待!

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5月11日(土)の東京競馬メインレースは安田記念(G1)の前哨戦・京王杯スプリングカップ(G2)が行われる。

 

今年上位人気の一角になりそうなのが4歳牡馬のタワーオブロンドン(美浦藤沢和雄厩舎)。前走は東京芝1600メートルの東京新聞杯(G3)であり、2番人気5着だった。

 

5着とはいえども0秒4差だったから大負けしたわけでもない。直線で一瞬だけ狭くなるシーンがあったのもこの馬には不運だった気がする。

 

今回は前走以来約3ヶ月ぶりの競馬となる。タワーオブロンドンの休養明けの成績は【1-1-0-0】であり、大きな割引はないとみる。

 

この馬、3歳以降はずっとマイル戦を使ってきたが、おそらく今回の1400メートルの距離はマイルよりも合う気がする。2歳時のききょうステークス(OP)は3馬身半差の1着であり、京王杯2歳ステークス(G2)1着も2馬身差の完勝だった。

 

3歳になってアーリントンカップ(G3)1着、キャピタルステークス(OP)2着などマイル戦でも好走しているが、やはりインパクトという点では1400メートルの競馬のほうが強いと感じる。タワーオブロンドンの1400メートルでの成績は【2-0-0-0】。

 

また、この馬は終いの脚にかけた競馬のほうが良さそうな気がする。前走は15頭立ての道中5番手とこの馬にしては前目の位置だった。

 

東京コースでは32秒4、33秒2の上がりをマークしている馬。ベストと思える距離1400メートルで後方からの爆発力を活かせる競馬になれば、先頭でゴールを駆け抜けるシーンは十分にありそうだ。

【ヴィクトリアマイル(G1)2019】5歳アエロリットは休養明けだが地元・関東圏での競馬は抜群の安定感を誇る

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 5月12日(日)の東京競馬場では春の古馬牝馬の女王を決めるヴィクトリアマイル(G1)が開催される。

 

今年、上位人気の1頭に支持されそうなのが5歳のアエロリット(美浦菊沢隆徳厩舎)。現在は14戦4勝2着5回と安定した成績を誇っている馬だ。アエロリットは3歳時に今回と同じコース、同じ距離でNHKマイルカップ(G1)を制している。

 

また、この他にも昨年の安田記念(G1)2着、3歳時のクイーンカップ2着など東京マイル戦は【1-2-0-1】と安定している。この他1400メートルの新馬戦1着、昨秋の毎日王冠(G2)1着の実績があり、東京競馬場での全成績は【3-2-0-1】である。アエロリットに関しては今回のコース、距離は大歓迎だろう。

 

唯一、懸念材料があるとすればローテーション。アエロリットの前走は年明け1月に米国で行われたペガサスWCT(G1)である。このレースで9着に敗れ、今回はそれ以来約3ヶ月半ぶりの競馬となる。

 

常識的に考えて理想のローテーションとはいえないだろう。ただし、アエロリットの場合は休み明けの成績が【1-3-0-0】。割と調教だけで仕上がりそうなタイプだけに、致命的なデメリットにもならないと感じる。

 

もちろん海外帰りということで多少の割引は必要だが、それでも今回のメンバーであれば上位争いできる可能性は十分にあるだろう。

 

この馬は桜花賞(G1)5着、秋華賞(G1)7着、マイルチャンピオンシップ(G1)12着、そして前述のペガサスWCT(G1)9着と、輸送を伴う競馬になると安定感に欠ける一面がある。長距離輸送を伴う競馬になると【0-0-0-4】、輸送がない競馬は【4-5-0-1】だ。

 

地元・関東圏なら牡馬相手のG1でも好走できるパフォーマンスを見せているだけに、今回の牝馬同士のレースなら久々のG1戴冠も十分期待できるはずだ。

【京都新聞杯(G2)2019】レッドジェニアルが後方からの差し切り勝ちで混戦を制す!

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 5月4日(土)の京都競馬場では、3歳馬限定の中距離重賞となる京都新聞杯(G2)が開催された。前半1000メートルは60秒0で流れ、最後は2分11秒9でフィニッシュ。

 

先週の3歳牝馬限定・矢車賞(500万下)は前半1000メートル64秒5、走破タイム2分15秒1だから京都新聞杯組は牡馬混合のG2らしいレースは見せてくれた。

 

 【①着/⑪人気】レッドジェニアル

11番人気の低評価を覆して勝利を収めたのは栗東高橋義忠厩舎のレッドジェニアル。4戦1勝、3着2回、4着1回と未だ掲示板を外していない安定感を発揮している馬だ。この日のレースは12番ゲートから無難にスタートを決めると、道中は8番手の追走。

 

折り合いもよくついており、リラックスして走っていた。3コーナー過ぎから徐々に鞍上の酒井学騎手の手が動き、進出開始。直線は外から一完歩ごとに差を詰め、ゴール前で先頭のロジャーバローズを交わし切った。

 

ロジャーバローズが予想以上に強い競馬をしたため、着差はクビ差だったが、何とか日本ダービー(G1)へ向けての賞金は確保した。上がり3ハロンはメンバー中唯一の34秒台(34.7)であり、今回は終い勝負にならなかったのもこの馬には合っていたかもしれない。

 

過去4戦の上がりはすべて35秒~36秒台。切れは一線級の馬たちには劣るが、最後までバテない競馬ができるのがこの馬の強みだ。

 

本番のダービー(G1)でもペースが流れれば、良い競馬ができるだろう。今回の一戦で即「次も勝負になる!」とは断言できないが、新しい伏兵の登場で本番がより楽しみになったのは事実。

 

父・キングカメハメハ、母・レッドアゲート(母父・マンハッタンカフェ)という血統。母のレッドアゲートオークストライアルのフローラステークス(G2)を制し、本番のオークス(G1)でも2番人気に支持された馬(結果は6着)。

 

母は古馬になっても2400メートルの日経新春杯(G2)3着の成績がある。レッドジェニアルも本番2400メートルの距離は問題ないだろう。前走・アザレア賞(3歳500万下・距離2400メートル)も0秒3差の4着だった。
 

【②着/②人気】ロジャーバローズ

個人的に勝ち馬以上に強い競馬をしたと思えるのが2着のロジャーバローズ。この日は初めて道中先頭での競馬になった。スタートしてからじわりと押し出されるような格好だったが、折り合いがついていたから問題はなし。

 

3コーナー付近でモズベッロが一気に上がってきたが、この馬自身は取り乱すこともなかった。そして直線は浜中騎手に追い出すと、跳びの大きなフットワークで後方との差を再度離しにかかった。

 

最後はレッドジェニアルに差し切られはしたが、道中のペースなどを考えると負けて強しの内容。デビューから一貫して2000メートルのレースを使われ3戦2勝、4戦目となったスプリングステークス(G2)も2番人気に支持されたが7着に終わり、皐月賞を諦めた。

 

ただ、前走も7着とはいえ着差はわずか0秒4差。跳びの大きな馬に不向きな中山コースというのも少なからず影響はあったはずで、今回は京都外回りの広々コース。もう能力が高いのはわかっているから、不利さえなければ上位争いはできる条件は整っていた。

 

今回の本賞金確保でダービーへの出走は可能になりそうだ。父は現在の日本競馬をリードするディープインパクトであり、母はリトルブック。母の姉にはG1を7勝した名牝・ジェンティルドンナの母であるドナブリーニがいる。

 

ジェンティルドンナは東京コースにめっぽう強かった。近親のロジャーバローズも東京の広々としたコースは適性が高そうだ。
 

【③着/⑦人気】サトノソロモン

サトノソロモンもスタート、道中は文句なしの競馬。序盤は内々の3番手を追走していたが、3コーナー過ぎから他馬が動き始めたところをこの馬と鞍上のB・アヴドゥラ騎手はワンテンポ待って追い出しにかかった。

 

直線も馬群を割ってよく伸びており、最後は4着のナイママとの叩き合いを凌ぎ切って3着を確保した。1着のレッドジェニアル、2着のロジャーバローズとの着差は2馬身半。今回は特に不利もないレースだったから現時点で持てる力は出し切っただろう。

 

レース前までの戦績が2戦1勝。前走500万条件の大寒桜賞では1番人気に支持されながら0秒8差の7着惨敗。3戦目の重賞挑戦で3着は立派。ダービー(G1)出走は不可能になったが、今後のレースぶりに注目してみたい1頭である。
 

【④着/⑩人気】ナイママ

4着ナイママは今回で10戦目。

 

昨年、秋の札幌2歳ステークス(G3)から7戦連続の重賞出走であり、厳しいレースをしてきた経験が活きた格好だ。道中は若干ムキになって走る面も見られたが、直線は最後までよく伸びた。

 

3着サトノソロモンとの着差はハナ差だったが、最後にまた差し返しにかかっているあたり、この馬もやはり能力は高い。今後もオープンやローカルの重賞戦線で注目したい1頭である。
 

【⑤着/①人気】タガノディアマンテ

1番人気に支持されたタガノディアマンテは前走の皐月賞(G1)が15番人気6着。4コーナー10番手の位置から上がり2位タイの34秒4の末脚で6着にまで追い込んできた。今回はその前走の好走が決め手となっての人気だっただろう。

 

スタートも五分に出て問題なし。道中も3番手追走で折り合いもついていたが、直線残り250メートルから先頭のロジャーバローズに突き放されてしまった。

 

もともと良質な切れ味を持っているだけに、今回は道中の位置取りがやや前目すぎたということも影響したかもしれない。また、タガノディアマンテは今回が7戦目となるが、昨年10月のデビューから休みなくレースに出走している。

 

一度、休養を挟んでリフレッシュさせてみるのもよいかもしれない。皐月賞を見ると、これが本当の実力ではないのは明らか。次走以降にも注目。
 

その他

前走4コーナーで騎手が立ち上がる不利を受けた3番人気オールイズウェルは8着。今回は道中も直線も不利なくレースができたが、1秒2差の完敗。自己条件に戻る次走以降に注目。

 

4番人気のブレイキングドーンは後方11番手から上がり2位の35秒0でよく追い込んだが6着まで。この馬は京都2歳ステークス(G3)2着はあるものの1着だった新馬戦、3着に入った弥生賞(G2)のような時計が掛かる馬場向きかもしれない。